(C) Natsuki Yasuda

「貧困の問題を直接的に解決することはできないけど、でも、笑いあうことはできる」カンボジア・スタディツアー高校生レポート:西端雅(2/5)

2015/05/07西端雅

三日目

午前は、プノンペンにあるSVA(公益社団法人シャンティ国際会)のカンボジア事務所を訪問した。SVAはカンボジア難民キャンプで支援活動を開始して以来、カンボジアの子どもたちやすべての人々へ教育の機会を提供できるよう、教育支援活動を展開している。

カンボジアの概況やSVAの事業内容について、プレゼンで詳しくお話を聞いた。

教育事情について… 小学校就学率は伸びたが教育の質に問題があり、小学校教員の約6割は中学卒のレベル。また、外国教材からの翻訳ミスも多く、教科書の内容もレベルが低い。校舎の不足と老朽化が進んでいて、2部制、3部制の学校もあるが、十分な授業時間がとれない。

事業について… 学校教育支援では、ドリーム小学校事業、住民参加による学校図書館運営事業、幼児教育の質の改善。学校外教育支援では、コミュニティ学習センター事業、出版文化事業、スラムコミュニティ図書館事業。そして、伝統文化事業。

事務所の方は、こう言う。「現場に出ると、出会った人たちのために出来ることはないかと考える。その人たちの存在が、活動する定義だ」。それを聞き、そういった精神や相手を思える心がないと務まらない仕事だと思った。人々のために尽くす人たちは、いつだって輝いてみえた。

ここで事務所を後にし、スラムでの移動図書館事業を見学させていただくことに。スラムとは、貧困世帯移住地域。プノンペン近郊のスラムの数は、約340~570か所で毎年、2万人近い人々が地方からプノンペンのスラムに流れているらしい。

スラムでは服を着ていない裸の幼い子やほとんどの子どもたちの洋服にはたくさんの泥がついていたけど、紙芝居と踊りを楽しむ太陽のような笑顔はどんなものにも変えられないと思うほど、輝きに満ちていた。その後、交流の時間があり、折り紙で子どもたちと遊んだ。みんな本当に元気いっぱい!!はじめは子どもたちが話してくれる言葉が全くわからなくて、すごくもどかしかったけど、一緒に笑い、楽しむということが大切なんだと思うと自然体でいることができた。鶴や紙飛行機を折っていると、元気がいい男の子がやってきた!その子は指差し会話帳を見ながら単語の発音を教えてくれて、一緒に音読の時間(笑)

そんなとき、一緒にいた少し控え目で、でも優しい笑顔が印象の男の子がカメの置物を私に手渡す。プレゼントだと気付いた私は、たくさんの「ありがとう!」を伝えた。そして、その子と手をつなぎ、スラムの道を歩く。最高に暑かったけど、日焼けなんてどうでもよかった。この温もりをずっと忘れないでいたい、その思いをしっかりと胸に刻んだ。両隣には私を度々、笑顔で見つめてくれる愛らしい笑顔…。

お別れの時をむかえ、バスから手を振る。真っすぐ、私に手を振ってくれている姿を見つけた。また、いつかえる日まで…。

昼食はホテルから徒歩で、近くの中華料理屋さんへ!「女子会だー!」と叫びながら、中華をがっつく女子のみなさん(笑)。ここで初めて食べたのは、カエル料理!普通に美味しかった!!そして、食後にはカフェでおしゃべり。これぞまさに、女子会(笑)。みんなの素敵な笑顔を撮ることができ、ひとりにやにや♪そういえば!1つ買うと、同じ商品がもう1つついてきたのには驚いた!!!店を出たときに気がついたけど、どうやらキャンペーン中だったらしい。ラッキー!

午後は、プノンペンにあるNGOのCHA(カンボジア・ハンディクラフト協会)を訪問した。ここは、地雷被害やポリオなどで障害を持った女性が、社会の中で自立して生きていけるよう、共同生活をしながら洋裁の技術を学ぶという場。現在、26名の女性がいるが、年々数が増えているらしい。

カンボジアには何十万人もの障害者がいるといわれていて、多くの人が、障害が理由で仕事に就けない。とくに、社会的に立場の弱い女性はその傾向が強いのだという。その中で、それぞれの障害を乗り越えて、自分や家族の生計を立てなければならない。過去の戦争の記憶や病気を抱えながら…。そういった問題に取り組んでいるNGOの1つが、CHAだ。CHAの工房はプノンペンに1つ、シェムリアップに2つある。

まず、6ヶ月ほどの技術訓練をうける。初めはゼロだが、6ヶ月以降から少しずつ収入が入る。初めがゼロなのは、能力を培うためだと聞いた。でも、厳しい訓練を行うので、雇用の需要があるそうだ。工房には、人形やアクセサリー、キーホルダー、カンボジア伝統シルクのクロマーやカバンなど、様々なものが売っていた。

ここで技術を学ぶ前は、ほとんどの人が希望も夢もなかったという。1人の女性がこう語ってくれた。「過去の自分を忘れてほしい」。「将来、自立できるような夢をもちたい」と。「夢をもちたい!」という夢をもった。それは、彼女にとって、将来への大きな希望になったと思う。2000年にここを創設し、彼女たちを見守り、社会へと送り出してきたキムタさんは現地の人だ。彼は言う。「人が人を助けるということは、小さい頃から良いことだと思ってきた」。

作業中の女性たちとお話ができる時間があり、私は、ゾウの人形をつくっていた1人の女性に声をかける。どうやらその人は、人見知りだったようで、私が質問をすると必ず、ちょんちょん、と前の座席の女性を呼んで間に入ってもらっていた。その女性は笑顔が眩しく、積極的なタイプだった。まるで真反対なタイプの2人(笑)。私は気になって、「2人は仲良し?ベストフレンド??」と、片言のクメール語と英語で聞いてみた。「YES!YES!!」その時の2人の笑顔が一番、素敵だったのを覚えている。2人は、こうして支えあって、ここで生きてきたんだと、そう伝わってきた。別れ際には、人見知りだった女性も笑ってくれるようになっていたのが本当に嬉しかった!!

夕食は、NGO運営のレストランで。店の中の壁にはたくさんの絵が飾ってあった。とても素敵なレストランだった。ここでは、クモの揚げ物に挑戦! 意外と食べることができた(笑)。食事をしながら、普段は簡単にできない話なども真剣に語り合った。スタツアメンバーは、本当にあたたかい。

「人とふれあう日」だった、この1日。「貧困の問題を直接的に解決することはできないけど、でも、笑いあうことはできる」。ミーティングで出たこの言葉が忘れられない。そして、貧困とは何なのかと考えた。「相手のことを思い、相手の気持ちを考えながらも、1つでも多くのことを知ること」。「相手との違いよりも、何が自分と同じなのかを見つけること」。その大切さを、目と心で感じた日だった。

四日目

午前は、自由行動。菜津紀さんたちとセントラルマーケットに向かった!初めてトゥクトゥクに乗った時は、本当に爽快で!!カンボジアの自由な雰囲気にとけ込めた気がした。相変わらず、子どもを抱えてバイクに乗る人や家族4人乗りなど、もうめちゃくちゃだった(笑)。だけど、気分は最高!!何もかもがちゃんとしすぎている日本に帰るのが少しだけ嫌になりながらも、セントラルマーケットに到着(笑)。そこでかぼちゃプリンを少しだけいただく。「……!!!」美味!!!!!いつかまた食べに来ようと誓った(笑)。服もたくさん売っていて、スカートなどは着ないけど、とてもかわいい色合いのワンピースがあったので、パシャリ!

こうして、プノンペンに別れを告げる。さらに、ガイドとして一緒に過ごしたバンタさんともここでお別れ(泣)。記念写真を撮り、バスから手を振る。最後まで笑顔だったバンタさん。約4日間、ありがとうございました!

バッタンバンへ向かう長いバスの旅。ひとりずつ座席を広くとり、みんな思いのままにくつろいだ(笑)。バスの中では、これでもかというほどリラックスしながら、のどかな外の景色をたくさん写真に残した。途中、丸まりながら寝たりしているうちに、昼食の時間に入った。この時の食欲はまだ、絶好調だった(笑)

ホテルに着くと、夕食は現地の人たちと交流しながら、ということになっていて、会場では、20代から30代の方々が私たちを親切にむかえてくれた。テーブルごとに散らばって食事会が始まる。英語が全くできない私は、上手くコミュニケーションをとることができなかった。それこそ、指差し会話帳に頼るしかなくて…。チャレンジ枠の私たちは、内心少し、落ち込んでしまっていた。言語という壁に、ぶち当たった瞬間だったのだ。それでも彼らは、優しかった。私のお皿に料理がなくなると、「肉が好き?魚が好き?」そういって料理をよそってくれた。これには驚いた!カンボジアでは、普通のことらしい。食後、外の広場で、みんなで円をつくりながら踊った。帰り際には、クロマーのプレゼントまでいただいた。

西端雅

第一学院高等学校3年生(参加当時)。2015年カンボジア・スタディツアーに高校生チャレンジ枠として参加。

西端雅カンボジアレポート

comments powered by Disqus

Next Quest