Go!Go!里奈!! 全盲の水泳選手秋山里奈と応援団のパラリンピック1

2014/03/01矢萩邦彦

パラリンピック最初の予選前、直前のジャパンパラで世界新を出したばかりの全盲の水泳選手、秋山里奈さん(24)の応援団とお会いすることが出来た。ご両親と応援団長の伊藤さんとは、6月10日にさいたま新都心で開催された第26回関東身体障害者水泳選手権大会以来だ。「ちょっと、我々の意気込みを撮ってください!」と入場口で陣形を作る応援団。並び方やポーズなども考えて臨む気合いの入れようだ。

何度もバランスを確認して、うちわや幕を広げる頼もしい応援団。(写真:矢萩邦彦)

ほぼ満席のアクアティクス・センターを歓声と拍手が埋める。日の丸の鉢巻きに扇子を差した姿で応援に駆けつけた岩田さんは、「せっかく東西の席で分かれて応援するんだからって、色々練習したんだけどね、向こう側が見えないよ!」と波打つデザインの天井を恨めしげに見上げた。この日、応援団はプールを挟んでウエストサイドとイーストサイドに分かれての応援となった。お手製の「GoGo里奈うちわ」はデザインも色々だ。

波打つデザインの会場は応援席同士のコンタクトがとれない。(写真:矢萩邦彦)

「なんとか精神的に落ち着いてくれればね…… だいぶ緊張してたみたいだから」。

勝って欲しいけれど、勝ちだけがすべてではない、そう言い聞かせる応援団の方が緊張しているように見えた。里奈さんは三度目の日本代表。その度に応援団が出動するという。

イギリス選手が出場するレースの声援の大きさに、「これじゃあ声が届かないよ…… でも応援するのみです!」と鉢巻きを締め直す。

お手製のグッズを手に、声をからして叫ぶ応援団。(写真:矢萩邦彦)

種目は「女子100m自由形S11」。S11は完全に視力がない、つまり全盲のクラスである。パラリンピック競技に付いているアルファベットは競技を、数字は障害の種類と程度を表していて、数が少ないほど重度の障害クラスである。基本的に障害のない競技のルールと変わらないが、水中からスタートしても良く、コーチが棒でたたいてターンやリレーのタイミングを教えることも許されている。

自由形のレースに果敢に挑む背泳ぎの秋山里奈選手。(写真:市川亮/LIVEonWIRE)

結果はフォルス・スタート(水泳競技で合図よりも前にスタートしてしまうこと)で残念ながら失格。応援団からは「肩慣らしだよ。背泳ぎでクロールと戦ったんだ、立派なもんだよ!」「まだまだこれから、本番は明後日だよ」と声が上がる。

明後日は「女子100m背泳ぎS11」だ。背泳ぎは里奈さんの真骨頂、結果を期待してしまうのはもちろんだが、なによりアスリートとしての素敵な泳ぎが楽しみだ。

午後の決勝を応援する秋山里奈選手。夢はまっすぐ、ともに前へ。(写真:安藤理智)

(2012年9月 LIVEonWIRE_JOURNAL掲載)

矢萩邦彦(Kunihiko YAHAGI)

教育・アート・ジャーナリズムの現場で活動し、一つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を目指す日本初のアルスコンビネーター(命名は松岡正剛)。予備校でレギュラー授業を持ちながら、全国で江戸的私塾『鏡明塾』を展開、分野にとらわれない現代版陽明学を実践している。学校機関でも特別講師として平和学・社会学・教育学など講演。また教育コンサルタントとして学生や保護者へのアドバイスに留まらず、講師研修・企業研修等も手がけている。代表取締役を務める株式会社スタディオアフタモードではジャーナリスト育成や大学との共同研究に従事、ロンドンパラリンピックには公式記者として派遣された。

パラリンピック2012

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