タイスタイル

2014/03/01安藤理智

アジア大会の興奮が冷めやらぬうちに、アジアビーチ大会が開催された。このアジアビーチ大会は2008年のバリ大会に続いて2回目、中東のマスカット(オマーン)での開催で、12月8日から16日まで9日間に渡って14競技が繰り広げられた。競技自体は別のメディアにお任せして、私からは大会のエピソードを一つ紹介しようと思う。

ご存知の通り、私はタイ代表選手団として大会に帯同してきたわけだが、選手達にとって一番気がかりなのは「食事」である。もちろん選手村にはインターナショナル風ビュッフェがあるのだが、やはり食べ慣れたタイ料理にはかなわない。味付けは国によって異なり、海外遠征において一番のネックは食事にあったりする。国際大会に慣れている選手であれば問題ないのかもしれないが、今回が初めての大会になる選手だっている。そんな選手のため、総合大会がある度に、タイは国をあげて応援している。

バンコクから在オマーンタイ大使館に運び込まれた大量の食材と調理器具。その数は段ボール箱にして50を下らない。この場所が仮の「タイキッチン」となり、1日300食を超える量が調理され、選手村や滞在ホテルに運ばれる。料理をするのは大使館スタッフ5名。そして、その料理を弁当箱に詰める作業は、大使夫妻をはじめ、大使館員、オリンピック委員会幹部、帯同サポートスタッフなどが総出で行う。

手作業の暖かみがこもった弁当は、選手、コーチ、スタッフ、プレスに配られ、皆の胃袋を満たしていく。そしてその裏側に「国を背負う」という事の意味が見え隠れしている気がする。一丸となるその姿勢、手作りの暖かさ。「微笑みの国」とも呼ばれるタイ式の心遣いが妙に心地良く感じた。

(2010年12月 旧E-PRESS掲載)

安藤理智(Risato ANDO)

2008年10月よりタイ王国オリンピック委員会のオフィシャルフォトグラファーを努め、タイ代表選手団に帯同して各総合大会を撮影&配信中。その一方で在バンコク邦人子女向け学習塾の講師という一面も合わせ持つ。

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