「やっぱりまずは知ること、知りたいという気持ちが大切」高校生・東北スタディツアー参加報告 藤井沙紀

2016/11/06藤井沙紀(広島県)

当時小学生だった私はテレビの映像、新聞の写真を見て衝撃をうけました。その時の私は地震の規模やだんだんと明らかになっていく被害の全容などを漠然としか理解しておらず、ただただ多くの人の命、生活を奪ってしまった地震や津波を怖いと感じていたように思います。

また近くで行われている募金やボランティアに行った人々を見て自分には何ができるだろうと考えていました。そして高校生になった私は実際に訪れて、自分の目で見て現状を知りたい、そしてお話を、思いを聞きたいと思い、このスタディツアーに参加しました。

一日目

仙台駅を出発してバスで移動している途中、外にたくさんの黒い袋が積んであるのが見えました。フェンスで囲まれていて、その周りにはたくさんのトラック。なかには汚染土が入っているのだと教えてもらいました。そこにあるだけでも莫大な量。その土の管理はちゃんとできるのか、新しく入れる土に本当に栄養はあるのかなど様々な問題がおきていることも知りました。

すぐに解決することはできないのかもしれない。それでも、不安に思っておられる地元の住民の方々への十分な説明と、思いを聞くことをまず第一にしなければならないと思いました。

そして、避難指示が解除されてまもない小高に入って行きました。中心街であるはずの場所も人気がなく、手つかずの壊れた建物がそのままありました。ブルーシートに覆われた建物、資材を積んだトラック。本当にここに人が住んでいたのか、そう思うくらい閑散としていました。

そんな町の中に立っていたお母さんと男の子。私たちを見つけると、大きく笑顔で手を振ってくれました。そこにはまた新たなスタートを切ろうとしている人がいる。寂しい町の中に明るい光を見つけたようで、私は元気づけられていました。

萓浜で上野敬幸さんのお話を聞かせていただきました。当時の様子、そして思いをうかがいました。「二万人の命を教訓にしてほしい。」この言葉がずっと私の心に残っています。備えていれば助かる命がある、後悔しなくていいことがある。私たちが東北での「教訓」を考え、伝えていくことの大切さを感じました。

私はお話を聞いた身として、危機意識を持ち、行動する、そして自分の命は自分で守り、いつか家族が出来たときは、私が必ず守りたいと思いました。そして二万人の命を決して無駄にはせず、「教訓」を子どもや孫の世代、未来へも繋げたいと強く思いました。

二日目

津波によって向きが変わってしまった丸山地蔵、「津波浸水深ここまで」という看板のある釣山神社に行きました。実際にそこに立ち、目にして津波の大きさ、威力を改めて感じました。「津波は今私の立っている、ここまで来たんだ」という今まで感じたことのない怖さを感じました。

そして、大川小学校へと行きました。倒れた柱、崩れ落ちてしまった外廊下。そのすべてが当時の様子を物語っていました。「自分が見ている光景が信じられない。だけどこれは現実におきたこと」。

事実を受け止めるのに時間がかかり、私は胸が締め付けられる思いでなかなかシャッターを切ることができませんでした。もし自分がここにいたら。自分の学校でおきたら。私は自信を持って「無事に避難できる」と思うことができませんでした。でもそれでは絶対にいけない。避難訓練をすることや避難経路を確認することなど自分に出来る、備えるということを一つ一つしっかりとやろうとこの地で強く思いました。

米崎小学校仮設住宅にお邪魔しました。私たちが到着すると、熊本から来られていた方々がいらっしゃって、オリジナルドリンクを振舞ってくださいました。そのコップの一つ一つにメッセージが書き込まれていました。かわいいイラストとともに笑顔と書かれたものや、一言「元気」と書かれたもの。

そのすべてに心がこめられていて温かさを感じました。もちろん必要な物資を送ったり、支援金を集めたりすることは大切です。でもこうして人が訪れ、話を聞く、関わり合いを持つ、一緒に時を過ごす。これも忘れてはならない私たちに出来る大切なことだなと思いました。

私たちはみんなでかき氷を作りました。「今プールに行ってきたの!」「ねえねえ、どこからきたの?」子どもたちはにこにこしながら話しかけてくれて、いっぱいおしゃべりすることができました。写真を取るときもポーズを決めてくれたり、舌を出して無邪気に笑ったり。きらきらした笑顔にかこまれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。このいくつものかけがえのない笑顔が太陽のようにみんなを照らしているのだなと思いました。

自治会長である佐藤一男さんにお話を聞かせていただきました。「誰も命を失わなければ、財産を失わなければ、大震災とは言わない。」備えることの大切さを佐藤さんの言葉の一つ一つから感じました。

災害はいつどこでどんなかたちで起こるか分からない。だからこそ、心のどこかにある「自分は大丈夫」「ここなら大丈夫」という考えを捨てて、ちゃんとした知識を持ち、家族などと話し合うことが大切なのだと思いました。

「ちゃんとしとけばよかった、ちゃんと言っとけばよかったという後悔は私たちだけでとめてください。」という佐藤さんの思いを忘れずに自分から行動していきたいと思います。そして、私が家族、友達、そして周囲の人々に呼びかけられる存在になれたらと思います。

三日目

語り部ガイドの釘子明さんに案内していただきながら陸前高田をまわりました。最初にバスの中で一本のビデオを見ました。そこには震災前の陸前高田のにぎやかな様子、人々の営みがあり、頭では分かっていたつもりでも、改めて失われてしまったものの大きさに言葉を失い、そしてそれを伝える釘子さんの声に胸が痛くなりました。

そこから高田松原の駅や新しく出来た住宅をまわり、そしてうごく七夕祭りの山車を見せていただきました。私が山車を見上げていると、「これなんか全部手作りなんだよ」とおじいちゃんが話しかけてくださり、山車の説明をしてくださいました。そのときのおじいちゃんの顔はとても輝いていて、みんなで作った山車をとても愛おしそうに見ていらっしゃいました。

皆さんで楽器の演奏も披露してくださいました。笛の音、太鼓の音、皆さんの声。胸の中まで響き渡り、その音に、そして演奏をされる姿に、命の力強さを感じました。この音色はみんなの思いを乗せてきっと空まで届くはずだと思いました。最後に山車の前に集まった皆さんの笑顔を私はずっと忘れません。

その後、漁師の佐々木学さんの船に乗せていただきました。ずっと続く高くなった防波堤、あちらこちらにある重機。船の上から、海から見る光景はまた違うものでした。漁船に乗って海に出るのは初めてでした。

海の話をうかがい、牡蠣の養殖の様子を見せていただきました。東北の海に触れることができたとても貴重で楽しい時間となりました。船を操縦しながら、まっすぐと海を見据える佐々木さんの姿にこの自然と共に、この海と共に、生きてゆくと決めた強い思いを感じました。

この三日間で実際に自分の目で見て、触れて、そしてたくさんの方々からお話をうかがい、現状を知りました。思いを知りました。すべてを理解することが難しくても、やっぱりまずは知ること、知りたいという気持ちが大切なのだと気付きました。受け身ではなく、自分から知る、自分からお話を聞くことを私はこれからも大切にしていきたいと思います。

今回東北でいただいた「教訓」、たくさんの「思い」を大切にし、学んだことを行動で示し、1人でも多くの人に伝えていきたいと思います。東北の皆様や安田さんをはじめとするこの事業に携わってくださった方々、私たちを支えてくださった方々に深く感謝します。本当にありがとうございました。また東北へ行きたいです。

高校生東北レポート2016

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