「また帰りたいと思える場所が1つ増えました」高校生・東北スタディツアー参加報告 杉本佳菜子

2016/11/06杉本佳菜子(愛知県)

何年経っても変わらない思いがそこにはありました。

初めて行った東北、仙台駅から離れ海岸沿いに向かうにつれ、変わってゆく景色がありました。「ここから過去の津波浸水区間」の看板、一面に広がる更地、不安定に傾いた電柱、奥に広がるはずの海が見えない程高い防潮堤、5年前から手つかずのままの家屋。今まで見た事のない景色が広がっていました。そして、今回3日間で出会った方々に聞いたお話しから、復興とは?防災とは?改めて考える事が出来ました。

「震災を教訓にして欲しい、2万人の命を無駄にしないで」という上野さんの言葉にハッとさせられました。

私の住んでいる愛知県から5年前震災が起こった東北は遠く、今まで身近な出来事として震災を捉える事が出来ませんでした。数年以内に大きな地震が東海地方を襲うと言われ続けていますが、大きな地震を経験した事のない私には非日常すぎて、私事として考える事が出来ていませんでした。

しかし、上野さんの話を聞いて、決して地震が起こる事が非日常な事ではなく、明日起こるかもしれない、すぐそこに迫ってきている問題なのだと気づかされました。防災訓練の見直しなど、小さな事を1つずつ積み重ねていく事で、悲しみを1つずつ減らしていけるんだと思います。
 
2日目に伺った米崎小学校。校舎と校庭、そして仮設住宅。私にとっては少し変わった光景でした。そこで、かき氷を作ったり、小学生の子達と鬼ごっこをして遊んだりしていく中で、私の弟と年齢が近い小学1年生の男の子2人と仲良くなりました。

最初は全く言葉を交わしてくれなかった2人が、コミュニケーションを取っていくうちに、段々と色々な話しを聞かせてくれたり、様々な表情を見せてくれるようになった事がとても嬉しかったです。そこで、相手を知る事、コミュニケーションを積極的に取る事の大切さを知りました。その2つの事は、夕方に佐藤一男さんの話を聞いた際にも感じました。

避難所での混乱や、仮設住宅での孤独死。その混乱は自分以外の誰かがいるから起こる事、孤独死は自分以外の誰かがいるから防げる事なんじゃないかなと思います。佐藤さんの話から人と繋がる事、相手を知る事の大切さを実感しました。

簡単に繋がる事ができるという点で、最近はTwitterを始めとするSNSがコミュニケーションツールの1つになってきていると思います。Twitterは拡散や、簡単に情報収集が出来るという点で、災害時に強いツールだと佐藤さんもおっしゃっていました。

しかし、残念な事に震災の時デマや間違った情報などが出回ってしまう事も多々あったようです。情報を精査したり、正しい使い方を知る事で1つでも多くの命を守る、災害を減らしていく事が出来るのだと思いました。

人間関係や地域の人との繋がりが希薄化している今、防災や減災を考えて行く上で家族や地域の人達とコミュニケーションを取ったり、相手の事を知る事が後々避難所や仮設住宅での生活で役立っていくのだという事を学びました。

3日目、バスに乗り釘子屋さんの案内で市街地を見て回りました。バスの中で見せてもらった写真はどれも音も言葉も無いのに、ひしひしと伝わってくるものがありました。私は今の陸前高田しか知らず、昔ここに家が沢山建って人が暮らしていたなんて想像する事が出来ませんでした。

釘子さんの声や言葉に説得力や少し怖さがあり、私はもう2度と絶対に同じ悲劇を繰り返してはいけない、もう繰り返したくはないと思いました。

そしてこのツアーの最後に出会った佐々木学さん。佐々木さんは牡蠣の養殖をやっており、船に乗って海上の案内をして下さいました。少し波があったものの私の知っている海の姿をしていて、とても何万人もの命を奪った海とは思えませんでした。

牡蠣について話をする佐々木さんはとても生き生きしていて素敵でした。生の牡蠣も頂く事が出来ました。身が濃厚で今まで食べた事のある牡蠣より何倍も美味しかったです。でもあの牡蠣には沢山の悲しみ、苦労や愛が詰まっているんだと思いました。

そんな佐々木さんが作った牡蠣を出荷する際に使う発泡スチロールの箱がとてもお気に入りです。佐々木さん達の似顔絵のイラストがついた赤や緑の箱に、力強く書かれた「米崎牡蠣」の文字。「三代続いた、牡蠣のバカです」というキャッチコピーも素敵です。普通の箱よりも3割くらい単価が上がってしまうそうですが、デザインの力を使って商品の魅力がより一層伝わってきました。私は将来デザイン関係の仕事を目指しているのですが、こういったデザインという形で東北に関わっていきたいという夢が出来ました。

この3日間で頂いた言葉や教訓、出会った人、見つめた景色、すべてを伝える事は難しいかもしれない。でも、私は私の伝え方で2度とあのような悲劇を繰り返さないように身近なところから自分を変え、周りにも少しずつ働きかけていきたいと思います。

また会いたいと思える人が、また帰りたいと思える場所が1つ増えました。みんな同じ空の下で繋がっているという事を強く感じました。

高校生東北レポート2016

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