「誰かの気持ちを想像することをいつも意識していきたい」高校生・東北スタディツアー参加報告 塚原千智

2016/11/06塚原千智(東京都)

震災の後、「瓦礫」という言葉を何度聞いただろう。今回のスタディツアーに参加して南相馬市で壊れかけたままの家を見たとき、「瓦礫」は誰かの家や家具だったのだということに気づいた。

私はこれまで、東日本大震災の被害状況を「数」でとらえていて、その場にいる一人ひとりについて想像力をはたらかせてこなかったように思う。「この場所で何人亡くなりました」「何メートルの津波が来ました」という話を聞いたり、映像や写真を見たりすることで、被害の大きさを知ったような気分になっていた。そんなことは意識していなかったが、どこか遠くの世界で起こっていることのようにとらえていた。

今回は実際に自分の目で現場を見ることができて本当によかったと思う。「もし、これが自分の家だったら…もし、ここに知人がすんでいたら…」ということを考えるようになったからだ。自分の周りの大切な人が被害にあっていたとしたら、私もその友達を心配するだろう。想像力が足りなかったと、強く思わされた。そしてもうひとつ、もし自分の知っている人だったら…という想像力を一人ひとりが働かせることができるようになるには、どうしたらよいのだろうかと考えるようになった。

今回のスタディツアーはこのように、「想像力をはたらかせることの大切さ」を強く意識させられたものであった。

教訓にしてください。
備えてください。
避難してください。
もう、同じことを繰り返さないために。
後悔する人が少しでも減るように。

ツアーでお話を聞かせていただいたみなさんが、繰り返しおっしゃっていた。この言葉を私は、自分のものにできるだろうか。自分の関係のない遠い世界の出来事だと無意識に感じていた私は、明日にでも私たちの住む東京に大きな自然災害が来るかもしれないという意識を持つことができるだろうか。そして多くの人たちがそのような想像力を持つためにはどうしたらよいのだろうか。

東北を訪れる前は、災害時にどのような行動をするべきなのか、よくわかっていない部分も多かった。「知識をもってください。考えてください」とおっしゃっていた陸前高田市の佐藤さんのお話を思い出した。

「知ること」ははじめの一歩だと思う。正しい知識を持たなければ、きっと私たちはパニックが起きている中で正しい判断をすることができないだろう。だから多くの人に伝えていくことが必要になってくる。しかしそれだけでは足りないのだということに、今回は初めて気がついた。

このことに気づいたのは、2学期の始業式に消防の人が来て防災の話をしてくださった時だ。これは毎年行われているが、今年はその言葉のひとつひとつが染みこむように自分の中に入ってきた。聞こうと意志を強く持ったのは、いつか来る「その時」が想像できるようになったからだと思う。

「想像力」これが、今回私が得たキーワードである。

私がそうだったように、想像力を持つことで意識が変わる。意識が変われば正しい知識を得ようとする。想像する力は何よりも大切で、まずこれを鍛えることが防災にもつながるのではないだろうか。

考えてみると、想像力というのは日々の心の持ち方で鍛えることができるように思える。「今の痛いだろうな」「悲しいだろうな」「嬉しいだろうな」いま隣にいる友人、家族、そういう人たちに気持ちを寄せてみる。そういうことが自然にできるようになれば、東日本大震災からもっとたくさんのことを学ぶことができるだろう。

スタディツアーに行くまで私は、「瓦礫」という言葉からそこにいた人たちのことを具体的に想像することができなかった。今は違うとはまだ言えないけれど、誰かの気持ちを想像することをいつも意識していきたい。

高校生東北レポート2016

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